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「ゆく雲」で「きちがいは原因無しにおかしくなるんじゃなくて状況がそうさせる」みたいなことを書いてるけど、基本的にどの作品も「状況や環境に生き方や思想が規定される」という前提で描かれている。状況を俺が変えてやる!なんて意志はほぼ生じない。例えば「たけくらべ」なら大工の子は大工、坊主の子は坊主、娼婦と決められた子は娼婦になるのが当然の世界で、誰もそれを疑ったりしない。子供に将来の夢なんて学校で聞かないし、子供と大人の間に思春期などの緩衝地帯がない世界。実際は現代でもそうだけど、かえってその辺が露に見えてくる。
この本は注の付け方が本当にちょうどいい。ずっとページの下部が注のためにあけてあって、同じページ中に注が書かれるのでいちいちページをめくらなくていいので煩わしさがない。注も細かいところまで付けなくて鬱陶しくないし、髪型や家具、着物についてはイラストも入れてあってわかりやすい。
- 作者: 樋口一葉,管聡子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/10/05
- メディア: 文庫
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