やしお

ふつうの会社員の日記です。

水村美苗『日本語が亡びるとき』

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日本語が在ることの自明性を崩す本。普遍語と現地語のはざまで国語が登場したり退場する姿を、他の言語のあり方を交えて見せてくれる。英語が単独で普遍語に君臨する中で国語がまず学術的な機能を保てなくなって他も引きずられるという姿。著者の日本語を守るって動機が、西洋語や表音主義を相対化させる道具を/日本文学の蓄積を、失うにはもったいないからってだけならつまらないけど、言語は人間の思考を規定する以上、国語の退場で思考様式の一つが消滅するから損って点にあるようだ。国語で書くことが自明でない国々の作家の姿も見せてくれる。