やしお

ふつうの会社員の日記です。

ロシア旅行(2019年6月)事情のアップデート

 関係ない人にはまるで無関係だけど、知りたい人にはすごく助かるのが技術系や旅行の情報で、サンクトペテルブルクに4日間、モスクワに2日間一人で旅行してきて、ガイドブックやネットの情報と違っていたことや違わないけど実感として思ったところを参考までに置いておくのがネットへの恩返しだろうと思って。
 旅行先の貧弱な回線で重い写真を大量に読み込ませられるのつらいからファイルサイズは小さめにした。


ビザ

 日本のパスポートはかなりの国をビザ免除で行けて便利だけど、ロシアは観光でもビザがいる。必要な書類の情報とかは他の人が書いてる通りだけど、大使館の受付けの状況が変わってた。(業者に全部頼む人は関係ない話。)
 ネットで調べた時は「大使館での整理券の配布は1日70枚くらいで、朝9時半に行けば間に合う」となっていたけど、自分が5月中旬に行った時は整理券は25枚、8時前には並ばないと取れない(早い人は6時くらいから並んでいる)状況だった。実は今年(2019年)の4月から「公式ロシアビザセンター」というのが開設されていて、そっちとの兼ね合い?で枚数が激絞りになっていたのかもしれない。大使館の張り紙を見て初めてビザセンターの存在を知って徒歩20分ほどで向かったらそっちは空いていて無事に申請ができた。ただし大使館だと無料だけどセンターだと4500円かかる。センターのサイト↓


  https://interlinkservice.world/japan/jp


 交通費と手数料と手間を考えると業者に頼んだ方が安上がりだなと思った。
 大使館のサイトの案内も最新情報が集約されていなくてものすごく分かりにくい。本体の解説とプレスリリースを自分で総合して読み込まないと正確に理解できないような感じ。整理券の情報も載っていない。
 状況はまたすぐ変わってしまうのでググる時も期間指定して検索したり、あとTwitterでも検索した方がいいなと思った。


英語

 ガイドブックでも、昔ロシアに行ったことのある人に聞いても、英語があまり通じなくてつらいとのことで不安だったけど全然そんなことなかった。観光地だからだとは思うけど、ここ10年くらいでかなり変わったみたい。レストランやカフェでもすぐ英語のメニューを出してくれたし、英語で注文しても分かってくれた。
 さすがにホノルルやソウルや台北の日本人観光客が大量にいる地域みたいに日本語の案内も完備で店員も日本語ぺらぺらみたいなことはあり得ないから、英語が全く無理ならちゃんと添乗員をつけないときついとは思った。


 一方で中国語の案内はほぼ完備されていて、韓国語も多少はあったけど日本語は皆無という状況だった。クレムリン中韓のパンフはあっても日本語はなかった写真↓



 中国と韓国はビザの免除があるけど日本はない、という違いがここに現れているのかもしれない。実際、中国人の団体客はどの瞬間にもいたし、韓国人もよく見かけたけど、日本人は期間中で2回しか見なかった。日露平和条約が締結されればビザも免除になるのだろうか。


 英語で事足りるけど、それでも「ありがとう」「おいしかったです」くらいのロシア語は瞬間的に口から出せるように練習した方がやっぱりいいと思った。日本で外国人旅行者に道や電車を訊ねられることも時々あって、英語で話しかけられるのは当然で別に失礼だとも思わないけど(それが覇権言語の性質だと思うし)、でも日本語で「ありがとう」と言われれば悪い気もしないのと同じで、ロシア語でひとこと言うだけでも相手は「うんうん」って感じでちょっと嬉しげにしてくれることもあるし、別に無反応の時もあるし。
 その土地の言語を話したら相手にほんとに通じた、っていう実績がたとえ0.01でも「ゼロじゃない」っていうのはやっぱりうれしい。


交通

 サンクトペテルブルクではヤンデックスタクシーをずっと使っていた。ロシアではウーバーがヤンデックスに買収されたそうで、ウーバーのアプリをロシアで開いたら「ヤンデックスのアプリをインストールしろ」というメッセージが出た。
 日本のクレジットカードが登録できなくて、他のサイトでもそう書かれていたので自分だけじゃなかったみたい。現金払いもできる。ドライバーはみんなちゃんとお釣りを渡してくれようとしたけど、50円未満の小銭だから毎回「いりません」って断った。ドライバーはほとんどの人が英語を喋れないと思うけど、行き先の指定も値段の提示もアプリ通りなので話す必要がないので別に問題はなかった。
 日本のタクシーと比べるとすごく安くて、そこそこ移動してるつもりでも3~500円くらい。副業でやってるとしても、あれで稼げてるのかしらと心配になる。


 モスクワでもヤンデックスタクシーは使えたけど、旧ソ連時代の駅がきれいなので(というかソ連っぽさがあるので)地下鉄を使った。約100円でどこまででも行ける。ものすごい過密ダイヤで運行してるのか2分間隔くらいで次の電車が来る。交通費はとにかく安かった。鉄道もバスもとにかく安いと、タクシーもそこに合わせて安くなってしまうんだろうなと思った。
 新しい車両だとドアのとこに赤いランプがついてて、点灯するともうすぐ閉まる合図だから駆け込むな、というシステムみたいで、ちょっといいなと思った。次がすぐ来るからそもそも駆け込むインセンティブが働かない面もあるのかもしれない。



支払い

 ガイドブックだとクレジットカードが使えない、機械があっても拒否されて近くのATMでキャッシングさせて現金で払わせられる、という話を見て、多目に両替して行ったら全然そんなことなかった。これも観光地だからだとは思うけど。
 空港の送迎はつけてて、ロシア人の日本語ガイドさんとお話しする機会が少しあったけど、「どこでも使えます。カード社会。」とのことだった。これも10年くらいの話なのかもしれない。日本もずっと使えなかったマクドナルドでようやく2年前から使えるようになったし、同じようなものかもしれない。


 3万円両替して、でも使う機会があまりなくて、最後の2日くらいでせっせと現金払いをしても減らなくて、空港でなんとか使いきろうとして、もうお土産も一通り買っちゃったし、自宅にそんなにマトリョーシカは必要ではないし(もう買った)、人にむやみにマトリョーシカを贈るのもどうかなという気もして(人の分ももう買った)、時間もないし、お店も歩き回って、困って、スターウォーズのレゴを買った。ミニフィグ(レゴの人形)が前から欲しかったし、と思い込むことにした。
 デンマークの会社が作ったアメリカのキャラクターのおもちゃをロシアの空港でかなり割高で買って日本に持って帰るのって何なんだろう、と思ったけどしょうがない。
 他のミニフィグがいるところにチューバッカたちも置いた。目にするたびにこの世で私一人だけは(これロシアで買ったやつ)と思うから。



ガイドブック

 種類がなさすぎて、情報がちゃんと集約されているものだと「地球の歩き方」一択だった。ネットで調べればいいって話もあるかもしれないけど、情報がまとまってないしフォーマットが違うものを網羅的に見ようとするにはすごく不便だし、現地でも最悪の時は紙の地図や情報があるのは安心だよ。
 あとキリル文字の一覧表があるのが嬉しかった。だんだん慣れてきて例えば「ресторан」がペクトパーじゃなくレストランと読めるようになってきたりした。たぶんすぐ忘れる。


犯罪

 特に怖い思いをする場面はなかった。話しかけられることもほとんどなかった。スリと置き引きには気を付けろとガイドブックでもネットでも送迎の人にも言われたので気を付けたりはしたけど、それはロシアに限ったことでもない。


ネット規制

 LINEは使えないという話はその通りだったけど、他は特に何もなかった。出張で中国へ何度か行っているけど、金盾でLINEもGoogleTwitterも何も見られないけど、ロシアはそこまで厳しい状態ではなかった。


昼の長さ

 サンクトペテルブルクは夜がなかった。厳密な白夜ではないけれど、夜だなって思える時間が午前0時半~1時くらいで、その間も「日の出前」くらいの明るさだった。日中も太陽が低い位置であまり高さに変化がないので、未明から深夜まで午後3時くらいの明るさがずっと続く、という感じだった。たまたま選んだ日程が夏至を含んでいた。
 ガイドブックとかで事前に知っていたけど、体験するとかなり変な感じだった。今まで意識したことがなかったものの普段、影の長さや光の強さ・当たり方で時間を把握してて、「もうすぐ夜だな」とか「そろそろご飯」とか「寝る準備」とかの感覚にリンクしてるんだなって思った。


 ずっと同じ明るさだし、お店もずっとやってるし、みんな普通に出歩いてるから、「ご飯を食べる時間」がまず狂ってくる。普段は夜9時に夕食だと「遅すぎる」って思うけど、違和感がなくなってくる。睡眠も浅くなる。
 睡眠不足のはずなんだけど全然眠くならないなー、と思ってたら、地下の照明の薄暗いレストランで注文を終えた直後に、寝落ちする寸前、手に力が上手く入らないレベルの眠気に突然襲われたので、明るさは大事なんだなと思った。
 ヘルシンキストックホルムオスロサンクトペテルブルクと同じくらいの緯度なので事情は同じようなものなんだろう。


 モスクワはだいぶ南なので、東京と比べれば高緯度だし夜も長いけど、しっかり夜があるのでちゃんと眠れた。


赤い帆祭り

 空港送迎の時に「明後日お祭りがあるんですよ。卒業生を祝うお祭り」という話を聞いて、調べたらサンクトペテルブルグで最大の「赤い帆祭り」というものだった。ロシアやヨーロッパからも100万人がくるお祭りだという。夏至にやってて、たまたま時期が被った。ガイドブックにも載ってなかったから、教えてもらわなければ知らないままだった。
 この旅行者の記事(2016年)を参考にして出掛けた。


  『3連休でサンクトペテルブルク ~白夜祭Алые паруса~』サンクトペテルブルク(ロシア)の旅行記・ブログ by MARIELさん【フォートラベル】


 あと英語で「scarlet sails」で検索したら開催日時がちゃんと出てきた。22時からエルミタージュ美術館広場前の大規模コンサート(チケット必要)、0時40分から花火+赤い帆船の運行(チケット不要)だという。
 かなり広範囲に交通規制がされていた。Googleマップだとよく分からないけど、ヤンデックスだと(タクシーの配車アプリなので)赤く範囲が区切られていて分かりやすかった。



 ただこの中もさらに歩行者の進入エリア規制が複雑に設定されていて、正直行ってみないとよく分からなくて、人の流れに身を任せるみたいな感じだった。
 花火(と帆船)がメインイベントみたいで午前0:40開始。1時間以上前に来たのに川沿いはゲキゲキの混み混みで平日朝の田園都市線みたい。



 このままさらに混んでくる中でじっと立って待つのしんどいなと思って、急いで交通規制の外のエリアに移動してヤンデックスタクシーでホテルに0:30くらいに戻って、部屋から花火が見えた。(AZIMUTというホテルだった。)花火は約20分間。イサク聖堂をシルエットにして大きな花火が幅広にわーっと一斉に開くのを、明かりを消した真っ暗な部屋の中からずっと見ながら、ありがたいこっちゃでと思った。





 サンクトペテルブルクはどこを見渡しても欧州の古都って感じで町並みがめちゃくちゃきれいで初めて来た時(うわーーっ)ってなったし、モスクワはソ連感のある建物がたくさん残っているし首都だし、見て面白かった。京都と東京みたいな立ち位置。他の欧州の人気エリアに比べると、ツアーも少なくて情報も少ないからますます旅行先として選ばれないけど、航空会社と旅行会社がしっかり企画すれば十分大人気になりそうなところだな(実際中国人はめちゃくちゃ来てるし)と思った。すでに欧州の人気エリアがいっぱいあるからあえて注力する必要性を感じないのかもしれない……。
 行く前はビザ取得はめんどくさいし、クレジットカードも英語も使えないらしいし、犯罪も多いと聞いて気が重かったけど、そんなことなくて終わってみたら行って良かったなと思った。例えば中国だとネット規制もあってクレジットカードも英語もほぼダメなので滞在中とにかく不便で(あと衛生面の感覚の差が大き過ぎて)、出張では今後も行くけど旅行先にはたぶん選ばないな、と思っててロシアもそれに近いのかと思っていた。でも(観光地にいる分には)他の海外旅行と比べて不便や危険ってこともなくて楽しかったことを報告します。