やしお

ふつうの会社員の日記です。

諏訪恭一『品質がわかるジュエリーの見方』

https://bookmeter.com/reviews/105122040
本書1冊で基礎知識と価値基準が共有されて、ジュエリーを見る解像度が上がる。写真も豊富で美しい。バランスや適材適所かをトータルで判断するもので、例えばダイヤの4Cに拘泥してマニア的に執着したり、ブランドのランクで見下すような姿勢とはかけ離れている。宝石・構想・仕立ての3要素で見るのは、工業製品が企画・設計・製造の各品質どれが欠けてもダメなのと似ている。本書はたまたま本屋で見かけて、上野の科博で宝石の特別展もやるし、観に行く前に前提知識があるといいかと思って買ったら、著者がその展示の監修者だと後から知った。


 様々な宝飾品をエクセレント~プアの5段階に分類して個別に解説するが、プアも貶すのではなく欠点・不調和を指摘する姿勢で納得感が高い。
 著者の経歴もすごいが、著者の祖父と父が戦時中に国が国民から宝飾品を召し上げた時に、ダイヤの鑑定員として雇われた、というエピソードもすごい(本書では全く触れられていないが)。あと諏訪恭一が会長を務めるSUWAのジュエリーを先日実際に目にする機会があったけど、確かに美しかった。