やしお

ふつうの会社員の日記です。

小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』

https://bookmeter.com/reviews/105121993
小川洋子は10代の時にハマって全作品を読んでいたのが急に離れて、17年ぶりに読んだのが本作だった。相変わらず見事な手腕だった。「誰も見向きもしないささいなことにこだわってしまう人物」「肉体のいびつな変化」「無垢な少年を穏やかに導く老人」といったモチーフは以前から一貫していて、それらをいくつも重ねあげて物語に仕立てていく。部分においても細かく対比・反転を入れて(例えば少年の家の狭さや古さと家具の美しさなど)飽きさせないし、お互いに節度のある距離感を保つ作中人物たちの態度も気持ちがいい。