やしお

ふつうの会社員の日記です。

2022-06-21から1日間の記事一覧

尾脇秀和『氏名の誕生』

https://bookmeter.com/reviews/107192449 江戸から明治になって氏名制度が変わった結果、身分や職業とのリンクが外れて自由度が上がった側面と、改名の自由度は下がった側面と、両面がある。現在の氏名制度が「明治に国家が国民を直接徴兵するための個人の…

宮内悠介『偶然の聖地』

https://bookmeter.com/reviews/107192414 なんかおもちゃ箱を見せられたような気分で楽しかった。自分の好きなものやことをわっと詰め込んで、要素も流れもそれほどガチガチに固めずにぱっと提示していく。連載前の依頼内容は「エッセイと小説の中間のよう…

田崎史郎『小泉進次郎と福田達夫』

https://bookmeter.com/reviews/107192385 小泉議員は最近「小泉構文」と揶揄されたり「こいつは馬鹿にしてOK」みたいな風潮もあるが、もともと議員になる時に「世襲議員」としてものすごい叩かれ方をした後に、ものすごい人気が出たという上がり下がりを見…

柴田伊冊『航空のゆくえ』

https://bookmeter.com/reviews/107192353 「空の自由」「以遠権」といった概念を知られただけでも有益だった。コードシェア便があるとか、LCCが利用できるとか、探せば安い航空券もあるとか、どの国の空港でも搭乗手続きや航空券のデザインが同じとか、そう…

児玉博『堤清二 罪と業』

https://bookmeter.com/reviews/107192319 漠然と「失敗した経営者」のイメージで片付けられがちだけど、やっぱり日本の消費文化に与えた影響は無視できない大きさだった。セゾングループとしては解体しても、西友、無印、LOFT、ファミマ、パルコ、リブロな…

日端康雄『都市計画の世界史』

https://bookmeter.com/reviews/107192280 その時代の社会的課題・軍事的要請・技術的制約で「理想的な街」は変わるし、資金調達や現実の街の状況で「理想的な街」への近づけ方も変わってきて、時間的な重ね合わせで都市ができていく。時代ごとの町割の流行…

江守賢治『字と書の歴史』

https://bookmeter.com/reviews/106508591 書について基礎的な知識・概要を知りたいと思って探していたら、1967年出版の古い本だけど、本書の評判が一番良さそうだった。実際にとてもコンパクトに概説されていて、特に押さえておくべき人物・用語が網羅され…

伊東祐清『自衛隊失格』

https://bookmeter.com/reviews/106508572 読み始めた時に「辞めた組織のことを悪し様に批判する本かな?」と一瞬思ったけれど全然違った。最初に批判はしても「自分もそうなり得る」「なぜそうなってしまうのか」も考えるので読んでいて嫌な気持ちにならな…

諏訪恭一『価値がわかる宝石図鑑』

https://bookmeter.com/reviews/106508541 同著者の姉妹編『品質がわかるジュエリーの見方』同様、写真も豊富できれい、十分な網羅性でこの1冊で宝石の価値体系を内面化できる。著者の見識が高く、思考や認識がとてもフラット・フェアなのも読んでいて気持ち…

山口遼『ジュエリーの世界史』

https://bookmeter.com/reviews/106508491 「日本では宝飾品が飛鳥時代~明治まで姿を消した」ことを「不思議」と感じるのは、「宝飾品を身につけることが当たり前になった時代」から見ているからで、むしろ「西欧で宝石と貴金属を使ったジュエリーが発達し…

保阪正康『瀬島龍三 参謀の昭和史』

https://bookmeter.com/reviews/106508443 瀬島龍三は、山崎豊子の小説『不毛地帯』の主人公・壱岐正のモデルと言われ、山崎自身は「複数人を重ねたもの」と否定しても、一般には壱岐の人物像を重ねて瀬島を肯定的に捉えられてしまうし、本人もあえて否定し…