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江戸から明治になって氏名制度が変わった結果、身分や職業とのリンクが外れて自由度が上がった側面と、改名の自由度は下がった側面と、両面がある。現在の氏名制度が「明治に国家が国民を直接徴兵するための個人の識別子」として成立した経緯を見ると、マイナンバー制度でその役目を終えたのだから、自由度を上げれば(夫婦別姓や改姓改名、戸籍・家を緩和すれば)いいのでは、という気持ちにますますなる。江戸時代の人名の仕組みや通念が身分階層別に丁寧に説明されていてすごく面白かった。
時代劇が好きな人とかは「江戸時代の人名つけかた・常識」を知られるのでめちゃくちゃ楽しめると思った。
ちょっと語り口というか、わかりやすさのためなのか、根拠が不明確な価値判断の断言が多いところがあって、若干読むのがつらいところがある。この本自体が「江戸時代以前の名前に対する感覚は現代とは異なる」「現在の氏名の感覚で見てはいけない」と繰返し伝えているところなので、その精神で価値判断には踏み込まずフラットに書くか、せめて「~だったかもしれない」と留保つきで書くかしてもらえればと思った。