やしお

ふつうの会社員の日記です。

児玉博『堤清二 罪と業』

https://bookmeter.com/reviews/107192319
漠然と「失敗した経営者」のイメージで片付けられがちだけど、やっぱり日本の消費文化に与えた影響は無視できない大きさだった。セゾングループとしては解体しても、西友、無印、LOFT、ファミマ、パルコ、リブロなどは今も残っている。「資本家で経営者で文化人」がこの規模で実在したのは特殊な現象だったのだと思う。あと解説で糸井重里が出したコピーを見た堤清二が「女性をものとして扱うな」と静かに激怒するエピソードが語られていて、そうした自分の失敗をそこで載せられる糸井も偉いなと思った。


 辻井喬堤清二の筆名)の書いた大平正芳の評伝を読んで、このレベルで書ける人が経営者もやってたのって何なんだろうと思って、今度は堤清二の評伝を読みたいなと思って買った。ちなみに毎日夜中に2時間を取って読書や執筆に充てていたという。逆に「子供と過ごす時間を作る」とかはなかったみたい(本書ではなく別の記事で読んだ。)
 人間として好きだと思えるというのは読んでいて気持ちいいポイントだった。
 知的水準も高く自己を客観視する能力も高くても、「家」に関する執念みたいなのが残っていて割と素直にそこは認めつつ求めてく、みたいなところが、なんというか、人間の複雑さ・割り切れなさみたいな感じですごかった。