1/10 オラントゥンデ・オスサンミ 『フォース・カインド』
これは現実に起きた事件だと(それが事実でも虚偽でも)強調せざるを得ない、そのフィクションを引き受け切れない弱さが嫌い。
1/16 ジェームズ・キャメロン 『アバター』
まっすぐ進歩した先のことを普通にやる、という人がちゃんといる健全さ。
1/22 ジョナサン・モストウ 『サロゲート』
ネカマがいたり、ロボットの代車(?)がボロかったりと細かいところを詰め込んでちょっぴり親近感が沸く。
1/23 ピーター・コーンウェル 『エクトプラズム』
「エクトプラズムはゲル状だ」という設定で、ほんとにゲル状の白いどろどろを口から、しかもおえっ、おえっ、って苦しそうに出すから笑ってしまったけど、サスペンスを解消した後はすみやかにアクションに移行して、とてもマジメな作り方。
1/29 テリー・ギリアム 『Dr.パルナサスの鏡』
マダムを鏡の中へポンと入れると、すんごい満足そうな顔してブランコに乗って、紙をバリーッと破って上から出てくる。どんどんマダムを入れては出てくる。何てこったい。
2/5 スパイク・ジョーンズ 『かいじゅうたちのいるところ』
おお、子供が跳んだり撥ねたりしてるところを見るよろこび! だけじゃなくて感情の衝動的な部分を捉えるのがうまい。
2/6 ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾ 『オーシャンズ』
テレビじゃないんだから、もっと贅沢に時間を使えばいいのに。画面を引けないのはセンスが悪いのか水の透明度による制限なのか。
2/10 オーレン・ペリ 『パラノーマル・アクティビティ』
長時間座ってると脚とか腰が痛くなる、という普段映画に没入していると気づかない事態に気づかせてくれる、希有な映画。
2/12 ノーラ・エフロン 『ジュリー&ジュリア』
でかいババア、という存在に満足。
2/13 クリント・イーストウッド 『インビクタス』
これでよい、と信じる力が信じられない。何のサスペンスもなくてもいい、ズレもなくていい、ただラグビーの試合をたっぷり見せる少しの過剰さでいけるのだ、というおそろしい確信。
2/28 諏訪敦彦、イポリット・ジラルド 『ユキとニナ』
夏の、フランスの森と日本の森とでは植物も違うし音も違うのだ、という当たり前のことが皮膚感覚かと思うレベルでくる。
3/13 ジョン・リー・ハンコック 『しあわせの隠れ場所』
フットボールものだからってインビクタスと比べたら気の毒だねえ。
3/14 ガイ・リッチー 『シャーロック・ホームズ』
ことごとく銃弾が当たらない。結局、じかに殴り合わなきゃいけないんだ、と信じる作り手のこころ。あとホームズの狂い加減がなかなか。
3/20 ロブ・マーシャル 『NINE』
たまたまシネコンで一番大きいスクリーン、音で観られたからとても満足。途中が退屈でも肉感的なファーギーが大勢の女を引き連れて"Be Italian"を迫力満点で歌えば、うああ、ってなる。
3/27 ドワイト・リトル 『TEKKEN -鉄拳-』
いろんな人の意見をとりこんで折衷案にするとこういう悲劇が生まれるのかもしれない、と勝手に思っている。やっぱり監督に権力をある程度集中させないとだめなんだ。
4/9 マーティン・スコセッシ 『シャッター・アイランド』
どんでん返しがあるよ、と言われた上でどんでん返しを見せられてもびっくりしないからダメだよ。宇宙人オチにするくらいぶっ飛んでたらびっくりするのにね(それを面白いとは思わないから結局ダメだけど)。
4/10 ウディ・アレン 『ウディ・アレンの夢と犯罪』
ほーらウディ・アレンだよー。
4/16 ニール・ブロムカンプ 『第9地区』
必死さが滑稽さを生む様を描いてうまい。気持ち悪かったエビが途中からかわいく思えてくる不思議。
4/17 ティム・バートン 『アリス・イン・ワンダーランド』
ティム・バートンにしては過剰さがないような……それとも自分がニブイだけかな。
4/24 ルイ・レテリエ 『タイタンの戦い』
おっさん(神様)がラメみたいな感じでキラキラしてるのを見せて、どうしようっていうの。
4/25 マノエル・ド・オリヴェイラ 『ノン、あるいは支配の空しい栄光』
絶対に忘れ得ないショットというのにまれに遭遇するが、この映画の、直立する巨木のショット、トラックに座る兵士の顔、最後の銃撃戦で唐突に躍り出て絶叫するゲリラ兵等々は忘れ難く、ゴンドラに乗ってあらわれる女神や裸の少年天使たちは別の意味で忘れ難い。
5/5 ソフィー・ファインズ 『スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド』
これは映画それ自体を語る努力を放棄して映画を自分の体系のための例証にしているだけではないの。零れ落ちるものが多すぎて貧しくないか?
5/9 リチャード・ケリー 『運命のボタン』
5/14 ポール・グリーングラス 『グリーン・ゾーン』
この2作、別に忘れたわけでもないし観ているときは詰まらないとも特に思わなかったけれど、今、どれだけ思い出しても何の感情も出てこない。
5/15 マノエル・ド・オリヴェイラ 『コロンブス 永遠の海』
はためく緑と赤の国旗、ラストの海と空を横切る船の超ロングショットは忘れ難い。それにしてもとんでもねえジジイだ。オリヴェイラ、101歳。今作では妻と出演している。
5/21 ピエール・モレル 『パリより愛をこめて』
圧倒的に強いおっさんがどんどんボコボコにしながらズンズン進んで行く愉しさ。
5/22 トロイ・ダフィー 『処刑人II』
映画への言及の仕方が悪いオタクみたいで嫌だ。
5/28 マイク・ニューウェル 『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』
何の期待もせずに観に行ったら以外と面白くて。使うと使った量だけ過去に戻れる「時間の砂」の使い方がきちんと上手い。
5/29 ジョイー・トー 『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
暗闇の中を回転して跳ぶ、子供の投げた緑の円盤、あれは二度と忘れられない。それにしても主人公の俳優、なんちゅう眼をするのか。
6/5 ラデュ・ミヘイレアニュ 『オーケストラ!』
最後の一曲を本気で見せればそれだけで成立するんだ、という確信を持てない弱さよよよ。
6/18 北野武 『アウトレイジ』
こういう映画を観られるんなら生きて行こうと思う。素晴らしすぎる。オープニングからタイトルまでの演出には呆然とさせられる(顔の連なり、車の連なり、黒さ、道を映す長回し、そしてタイトル)し、ラーメン屋に向かう椎名桔平と森永健司が道路を渡る際にふっと横を向く瞬間、問答無用で武装解除させられる。北村総一朗を抱える三浦友和のストップモーション。禁じられたノスタルジーが一瞬現れるヘビにまつわる笑い、もう語ればキリがない。
6/19 ジョン・ファヴロー 『アイアンマン2』
前作はロバート・ダウニーJr.のキラキラ(金持ち)→ボロボロ(捕虜)→キラキラ(金持ち)の遷移があったおかげでぎりぎり、まだ。作ってる本人たちはこれを本気だと留保なしで断言できるのかしら。断言されたら即座に見限って、まだまだやれるぜ、ってんならもっと気張って!
6/20 中島哲也 『告白』
あんなにスローモーションやらカーブミラーの歪みやら使ってばっかり、恥知らず! でも最初から最後まで「それしかしない」というのはすごいね。でもちゃんとサスペンスはしてた。
6/25 ヒューズ兄弟 『ザ・ウォーカー』
予告なんかでは「彼が運ぶ本の内容とは!?」と言われるけど原題がなにせ「The Book of Eli」なので隠そうともしていないところが、そんなサスペンスに賭けようとしないところが欠点を免れているのかもしれないけど、じゃあ美点はと言われるとよくわからない。
6/26 北野武 『アウトレイジ』
会社の後輩を連れて2回目。「俺、正直こういうのちょっと苦手です」だって。悲しい。死にたい。でもこんな素晴らしい映画が、また将来ふいに現れて出会う可能性を考えると死ねない。生きる! うおーっ!
6/27 マイケル・パトリック・キング 『セックス・アンド・ザ・シティ2』
ハハハ、ファック。