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狂気染みた情熱を帯びた女を描かせたら天下一品のメリメ。特にラストの「彼女は自分の影が老人から日なたを奪うほどの距離まで近寄った。」以降のコロンバの恐ろしさはちょっとない。ここまでの積み重ねの記憶、例えばコロンバの兄オルソが血と知性の間で彷徨ってきたこと等々があっての恐ろしさ。あと変わった言い回しが色々出てきて楽しかった。「オルソの行為ははてしもない注釈の対象となる本文であった」とか「わたしに喪服を脱がせてくれる男は、あちらの女たちに喪服を着せることになりますわ」とか。
- 作者: プロスペル・メリメ,杉捷夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1932/11/15
- メディア: 文庫
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