やしお

ふつうの会社員の日記です。

フローベール『感情教育(上)』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/22390627

冒頭で年月日の指定がはっきりあるんだけど、競馬の場面の頭(p.329)で「当時の人々は」みたいに突然時間的な距離を示されるといきなりフィクションを突きつけられるみたいでびっくりする。大上段のメタフィクションとかでフィクションを強調されるより、これくらいさりげない方がいいわ。それにしても、目の前の事態に対するごく浅い思考だけにとどめて、事態が変わるたびに一貫性もなく思考をころころ変えて、一貫性をもってその浅さを繰り返せば、どれだけその人(フレデリック)の思考を見せても異様に透明な人みたいに見せられるのね。

感情教育〈上〉 (岩波文庫)

感情教育〈上〉 (岩波文庫)