やしお

ふつうの会社員の日記です。

ムージル『三人の女・黒つぐみ』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11351036

グリージャ:短編の終わらせ方として、男が洞窟に一人取り残されて諦める瞬間にこの世界を閉じることもできたところをそうせずに、採掘の終わりを重ねて一気に世界を大きく拡げた状態で終わらせるというのは本当に気持ちいいなあ。他の短編も本当によかった。「トンカ」で性交の成就に向かう場面では何だかよく分からないけれど泣きそうになるよ(電車の中なのでこらえたけど)。こんな書き方があるのかいねと。どれも筋だけ追えば悲劇なのに、圧倒的な肯定に満ちてて。こんなのが読めてねえ、生きててほんと幸せだよ。

三人の女・黒つぐみ (岩波文庫)

三人の女・黒つぐみ (岩波文庫)