やしお

ふつうの会社員の日記です。

佐藤信夫『レトリック感覚』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11713525

本書が面白いのは、レトリックの分類を知られる点だけではなくて、それぞれが根本的に何なんだというところ。例えば直喩より暗喩の方が穏やかな表現なのだという話。「のように」を使う直喩は説明的で野暮ったく、暗喩に劣るものと古来よりされてきたのは誤解で、実は「のように」を使うことでどれほど掛け離れた(似ていない)XとYでも強制的に結合する直喩の方が、読み手と書き手の間にXとYが似ているという合意が無ければ使えない暗喩よりも過激なのだ、という。本当の分類っていうのは、根本的な原理に触れる行為なんだと改めて実感。


 意味内容さえ合っていれば伝わるなんてまるで嘘。(例えば「痛い」と書くだけで読み手に痛みが伝わるわけではないはずだ。)という認識からスタートするのがレトリックなのです。


レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリック感覚 (講談社学術文庫)