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本書が面白いのは、レトリックの分類を知られる点だけではなくて、それぞれが根本的に何なんだというところ。例えば直喩より暗喩の方が穏やかな表現なのだという話。「のように」を使う直喩は説明的で野暮ったく、暗喩に劣るものと古来よりされてきたのは誤解で、実は「のように」を使うことでどれほど掛け離れた(似ていない)XとYでも強制的に結合する直喩の方が、読み手と書き手の間にXとYが似ているという合意が無ければ使えない暗喩よりも過激なのだ、という。本当の分類っていうのは、根本的な原理に触れる行為なんだと改めて実感。
意味内容さえ合っていれば伝わるなんてまるで嘘。(例えば「痛い」と書くだけで読み手に痛みが伝わるわけではないはずだ。)という認識からスタートするのがレトリックなのです。
- 作者: 佐藤信夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/06/05
- メディア: 文庫
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