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京極堂がついに外出するという点で上中巻で何度も強調された形を崩すが、全てが京極堂の思考を支えて存在する形は最後までそのまま。この特権的な人物に作者の名を付けるのは最初は自尊かと思ってたけど、むしろ自嘲に近いのかも。特権的なのは京極堂よりむしろ関口なわけだしね。三人称多元視点にあって唯一一人称で狂気を、相対化を経ずに語り得る自由を与えられている関口に対して、全てを自らの思考に収斂させねばならぬ不自由を背負わされた京極堂。作者ってせいぜいそんな、作品に隷属する存在でしかないんだよというつつしみからくる名付け。
- 作者: 京極夏彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
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