やしお

ふつうの会社員の日記です。

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟(下)』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/17837743

素性不明な「わたし」が登場し、(物理的な人間なら)知り得ない部分まで平気で語る奇妙さ。普通その場合は三人称小説にするし、実際本作もそう直すのは簡単。でもそうしなかった。この小説では、何事かについて、全く矛盾しない形で複数の見方・システムを立てられるんだということが何度も実証的に語られる(上巻では非ユークリッド幾何学への言及すらある)。それを小説全体にも適用し、これ自体も併存するものの一つだと言うために「わたし」が導入されたのかと思いましたがね旦那、こんなことはどうでもいいことですよ、まったく! へ、へ!

カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)