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この著者の美点を冗長性のなさ、切り上げ方の上手さに求めるとどうしても長編ってスタイルには合わないと思うの。でも本作では連作短編のような仕立てでその齟齬をうまいこと回避。各章で一チャンバラを成立させる、ある人物や舞台を一気に立ち上げ立合いに追い込む手際のよさがぴったり発揮される。例えば黒沢清が映画は90分でどのジャンルも語り切れるはずだが今は標準120分だから30分はジャンル外の話をしててそこで何をするかが勝負、みたいなこと言ってて、周平はその外部の勝負を許せるほどたぶん自分に甘くなかったんじゃないかな。
- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1995/11/01
- メディア: 文庫
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