やしお

ふつうの会社員の日記です。

津村記久子『カソウスキの行方』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21676675

例えば本谷有希子ならもっと過剰に人物を怒りに追い込むところをそうせず、ごくささやかで実によくある事態やかすかな違和感を丁寧に定着し、主人公たちを怒らせずせいぜい寂しいと思わせる程度で、代わりにポジティブで独特な対処法(仮想的に同僚を好きになってみるとか恋人の不義理を数値化するとか)を取らせる。形式や構造をせっせと考えたりせずに、ただ素直に途中笑わされて最後に主人公に対して、ああよかったなあという気分だけで満足できたのは久しぶり。20代後半の金持ちでも貧乏でもない人達の実感がぴったりきてるだけで嬉しいんだ。

カソウスキの行方

カソウスキの行方