http://book.akahoshitakuya.com/cmt/26460017
やっぱ描写がすごい。鮮やかってよりなまめかしい。何でもない物や何でもない動作が異様な存在感を伴って迫ってくる。子供が生まれて初めて食べる鮨、一部の人を嵌めて捕える東海道とか。なまめかしいのに言葉のもたつきもなくきめていくわざは、完璧なキャメラの位置でショット数を抑えて美しさと状況を同時に見せる昔の映画に似てるかもしんない。でもこういうの見て、昔は技術が高かったのに今はだめって非難は違うよ。技術が無いのは個々人の怠惰じゃなくて、そうした技術を高める傾向にない(そういうことを目指すフェーズにない)だけなんだ。
- 作者: 岡本かの子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1950/05/02
- メディア: 文庫
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