http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28107276
現実としての事実より認識の上の事実が現実を作り上げていくって思想と、極めて具象的に事実を積み上げないと現実にはならないって思想が同時に目の前でハイレベルに実践されてく悦び。例えば「書かれなかった長編小説」でミニーの罪を私が忖度した後で、本当に罪を犯したかもそれが何だったかも気にしないと言う瞬間や、「ラピンとラピノヴァ」で一行隔てて新婚が金婚式になる瞬間。結婚は主人公たち、金婚式は義父母のだから現実的な時間の飛躍はないのに、心理的には飛躍して齟齬を生んでいく。超現実の導入なしにこんなことできるという驚き。
- 作者: ヴァージニアウルフ,Virginia Woolf,西崎憲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (17件) を見る