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田中角栄を追い落とさなきゃ竹下登は首相になれなかったし、追い落としたことが1年での退陣の遠因になるという、二人の話というよりその構造を描く。就任→退陣に至る佐川事件の背景(右翼・やくざ・佐川急便・政治家の関係)から「その時点で仕方がなかった」って選択の重なりで起こる事態を、本書の後半で丁寧に見せていく。もっと大きな背景としては55年体制の固定化→ハックを試みる人(竹下)の出現→無理が出たってことかもしれない。システムハックは自分を徹底的に殺して制御することで成立していて、そこも生い立ち等から見せてくれる。
竹下によるシステムハックを支えているのは、徹底的に自分を抑制する態度だけど、それは最初の妻の自殺と、そこに至る自身の態度への反省が大きなきっかけになっているらしい、実際周囲の証言だとその前後で人が変わった、という指摘がされている。
- 作者: 岩瀬達哉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/02
- メディア: 文庫
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