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映画はみんなで作るもので作家性から免れてたのに、蓮實風の批評が監督を「映画作家」として扱ったせいで作家性に覆われたって柄谷行人の批判があって、ただ本書を読むとそれは「ハスミズム」への指摘で実際の本人は、監督に限らず俳優やキャメラや経済構造等々色々なラインから作品群を語って、自由にカッコの入れ外しする中で、作業仮説として作家性を取り出すことがあるだけって感じ。ウォルター・ウェンジャーを軸に、監督ではなくプロデューサーとしての作家性を浮上させて、かつハリウッドの凋落を個人が先取りしてたって指摘がすごく刺激的。
あと、第2次大戦中にハリウッドで戦争を鼓舞する映画を作っていたというけど、実はそれよりも先行する形で、まだ政府も世論も参戦に消極的だった時期の時点で、勝手に戦争映画を作っていたという指摘も面白かった。ヨーロッパから渡ってきた(ナチの支配から逃れてきた)映画人がハリウッドにはたくさんいたから、そうした人たちからすればアメリカも戦ってほしいわけで、参戦する前から戦争映画を撮っていたという。
- 作者: 蓮實重彦,山田宏一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/03
- メディア: 文庫
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