やしお

ふつうの会社員の日記です。

中村靖彦『日記が語る日本の農村』

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長野のある農家の人(唐沢正三)が1930年、15歳から60年以上書き続けた日記をひもとくという貴重な本。『元禄御畳奉行の日記』とかもだけど、偉人とかじゃない普通の日常生活とその時々の気持ちが記録された日記は、当時のシステムや内在的なロジックを組み立てるのに本当にありがたい資料になってくるけど、どうしても後の時代に残りづらい。家族に関する感覚や、戦時中の状況、国の農業政策との関係、農村での政治のあり方、贈答の仕組み等々、内側からどう見えてどう対処しているのかが本当に面白い。あと養蚕のプロセスが本当に激務だ。