やしお

ふつうの会社員の日記です。

2019-06-09から1日間の記事一覧

コンテンツと人格のあいだ

ネットの掲示板でも、Twitterでも、はてなブックマークでも、誰かをただの「コンテンツ」として扱ってしまう人がどうしてもいる。級友や同僚にはそんな言い方をしないはずの、罵倒や非難を平気で浴びせる光景は日常的に見かける。 コンテンツとして扱われた…

清武英利『しんがり 山一證券 最後の12人』

https://bookmeter.com/reviews/80135620 創業100年、従業員8千人弱の大企業が一瞬で廃業に追い込まれて全員が解雇される様子はさすがにすごい。涙を流す人が多くてもし自分が勤めてる会社が倒産しても泣きはしないなと思うけど、これ厳しいノルマを課されて…

倉田徹、張彧暋『香港』

https://bookmeter.com/reviews/80135577 後半は2014年の反政府大規模デモ(雨傘運動)を香港人として内部から見ていた著者のリポートで、非暴力のまま3ヶ月弱も中心街を占拠してみんな普通に生活しながら参加していた特異な形態が詳細に語られてとても面白…

小川剛生『兼好法師』

https://bookmeter.com/reviews/80135455 歴史上の人物の定説が時々変わることがあるけれど、それは必ずしも直接的な新資料が登場して変わるわけではなくて、当時の背景(社会体制、統治形態、価値観など)をより正確に把握した上で「この資料をどう解釈する…

カフカ『訴訟』

https://bookmeter.com/reviews/80135425 イタリア人の言葉は断片的にしか聞き取れないし、大聖堂の絵は暗くて懐中電灯で照らした一部しか見えない。このエピソードはちょうどこの小説全体と同じで、細部はものすごくクリアーなのに、全体は全く分からない。…

魚住昭『野中広務 差別と権力』

https://bookmeter.com/reviews/80135396 野中広務の伝記なんだけど、「彼がどういう人物だったか」というより「なぜ彼が大きな権力を手中にできたのか」が主眼になってるから、生い立ちから中央政界入りして自民党内で力をつけていく過程も「彼の能力が凄か…

鈴木智彦『ヤクザと原発』

https://bookmeter.com/reviews/81534892 原発事故にヤクザが群がったわけではなくて、原発を建てる時にヤクザが入って電力会社や役人側と地元側の利害調整をしてしっかり金を引き出してくるという構造がもともとあって、その流れで事故後の作業員集めなどに…

高槻泰郎『大阪堂島米市場』

https://bookmeter.com/reviews/81534861 米(石高)によって財産の多寡を表示するシステム、という世界がまずすごいけど、そのため米を金に変えるための市場が発達するし、市場ができれば金融取引も発達するし、バーチャルな市場や取引も出現するし、金融監…

笠原嘉『アパシー・シンドローム』

https://bookmeter.com/reviews/80135282 本書の途中で、子供にとっての他者は親とか教師とか友人とか具体的な他人であって、「世間にとってどうか」「人間としてどうか」といった抽象的な他者を想定して行動するわけじゃない、そうした具体的な誰かを超越し…