やしお

ふつうの会社員の日記です。

笠原嘉『アパシー・シンドローム』

https://bookmeter.com/reviews/80135282

本書の途中で、子供にとっての他者は親とか教師とか友人とか具体的な他人であって、「世間にとってどうか」「人間としてどうか」といった抽象的な他者を想定して行動するわけじゃない、そうした具体的な誰かを超越した「他者一般」に出会うのが青年期だ、という指摘があって、高校生や大学生がバイト先でふざけてSNSで投稿して炎上しちゃうのも、友人の反応しか想定してなくて世間の反応がすっぽり抜け落ちてるのもこれか、と思った。


 学生の無気力症はアメリカが40年代、日本が60年代で20年遅れて健在化したとか、男女の発達の違いで身体の外形と内側からの変化が早い段階で否応なく生じる女性はそれに身を委ねるしかないことで青年期に生じる適応の仕方とか不適応の症状にも差が生じてくるとか、青年期に大人の真似という実験してみているので大人っぽく見える人でも真似でしかなかったりするとか、見方のヒントが色々詰まってる本だった。

アパシー・シンドローム (岩波現代文庫)

アパシー・シンドローム (岩波現代文庫)