やしお

ふつうの会社員の日記です。

柄谷行人『倫理21』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8202822

本当に色々な点で示唆的な本だった。「人はいかに責任を取り得るか」という問いへの一つの解。「認識の領域と倫理の領域が両立するのは、どちらか一方を括弧に入れるという作業が可能にしているからだ」といった議論は不確定性原理みたい。マクロに見てる分には大雑把に両立できても突き詰めてみると原理的に厳密に確定できない。「『自由であれ』という命令に従うことから自由が生じる」といった議論はチューリングマシンの停止性問題っぽい。そうしたアナロジーから少しでも理解に近づけられればいいな。

 2010年読んだ86冊の中で一番自分にとって影響の大きい本かもしれない。
 本書はカント、ヘーゲルマルクス、あるいはフロイトの、なかんずく柄谷入門としてもいいのかも。それにしても丁寧に書いてるなーと思う。

倫理21 (平凡社ライブラリー)

倫理21 (平凡社ライブラリー)