http://book.akahoshitakuya.com/cmt/13859098
こんなのあるなら学生のうちに紹介してよと誰にともなく恨み節を言いたいような、新刊コーナーで偶然新版を見つけて死ぬ前に読めた幸運を喜びたいような。加藤文元『物語 数学の歴史』で「形式的側面と直観的側面」を「一つに統合することが西洋数学の悠久の目標」とあるが、本書が正にその例。学生の頃電磁気学でマクスウェルの方程式を眺めながらrotってどこら辺が回転なわけ? と思いつつスルーしてたらおっさんになって氷解するとは。何が嫌かって著者が26歳の時に書いてるってこと。同い年じゃん。げぇー。『構造と力』の浅田彰みたい。
今まで目にしてたものがまるで別の様相を見せる瞬間というのは、まあ、刺激的なことよね。
「やや長めの後期」で、部分の総和が全体に(一般的に)一致するという誤解のことや、二体問題と三体問題の間で無限のレベルがジャンプしている話を読んでなるほどと思うし、その思考を社会やら何やらに敷衍してみせるのも示唆的かもしれないと思うものの、これで世界が分かった気になるというのが罠ってもので(しかも著者が妙にこの辺のことを調子よく書いてるのでなおさら罠っぽい)、ここにも公理主義(というかそれを徹底して現れる相対主義)を見て、せいぜいある一面の見方だと冷めた目で見てないとダメなのかもね。
物理数学の直観的方法―理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬〈普及版〉 (ブルーバックス)
- 作者: 長沼伸一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/21
- メディア: 新書
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