やしお

ふつうの会社員の日記です。

紺谷典子『平成経済20年史』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/26221959

ヤフコメで財務省や日銀がやたら叩かれる文脈がやっとわかった。財務省は緊縮財政/日銀は利上げしたがる組織って前提で、経済が冷え込んだ状態でそれやって益々悪化って物語を平成20年分、金融、財政、社会保障、政局の懐かしい事件たちをきれいに位置付けて語ってくれて面白い。今の社会の生き辛さの来し方を見せてくれて。ただ前提の妥当性があまり語られていないから、逆の立場から語る20年史も見てみたい。正直、政官がダメとしても根本は、資本主義のフェーズの問題じゃないのと思ってる。組織の選択はそこから規定されてるってイメージ。


 みんながみんな全的に、組織の利益だけを考えてる、アメリカのご機嫌だけを伺ってる、ってそんな単純さはあり得ないでしょうよっていう感想。嘘や思い込みでも日本のため、国民のためって信じてやってる部分はあるはずでしょうよという。そうして信じてやってても裏目に出ちゃう、その齟齬がどこから出てくるのかを見てかないと意味なくないっていう。
 それから組織の論理で動いてるとしても、それをダイレクトにダメだって言っても意味があまりないと思ってる。欧米と比べて対応がおかしいとしても、どうしてそうなっちゃうのかっていうのを組織や個人の思想に求めるより、そうした思想を選択してしまう構造を見ていこうよっていう、無責任な感想なの。
 ただ一方的だったり浅かったりしても、やっぱ20年分を具体的に一望させてくれるって仕事はとてもありがたい。

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)