やしお

ふつうの会社員の日記です。

2020-01-08から1日間の記事一覧

国谷裕子『キャスターという仕事』

https://bookmeter.com/reviews/86248751 クローズアップ現代で国谷裕子キャスターを初めて見た時、「ライブでこんなにクリアーに喋れる人がいるのか!」と衝撃を受けた。今まで国谷キャスターのバックグラウンドを知らなかったけれど、「どのような環境で彼…

宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』

https://bookmeter.com/reviews/86495152 IQは100程度ないと今の社会では生き辛いという言及があって、でもIQは真ん中が100なので、じゃあ世の中の半分の人が生き辛いってことになる。「えっ」と思うけど、実際そんな苦しみでできた世界なのかもしれない。軽…

塙宣之『言い訳』

https://bookmeter.com/reviews/86106014 ああ、M-1の審査員ってここまで考えてやってるんだ、ってある種の感動を覚える。観客の感情に作用させることを目的とした営み、演劇や芸術を言語化するのは困難だとは思うけど、きっと本人が「ウケる/ウケないの差…

斎藤美奈子『モダンガール論』

https://bookmeter.com/reviews/86008146 めちゃくちゃ面白かった。日本で女性のキャリアパスが明治以降どう変化してきたかを大量の資料を参照しながら、実証的に語る。「キャリアパス」と言っても当事者にとって選択的なものじゃないし、望むと望まざるとに…

増川宏一『伊予小松藩会所日記』

https://bookmeter.com/reviews/86021569 江戸時代を通じて取潰しも転封も免れきった小藩の記録。1万石で藩士70人+足軽等100人って規模感としては中小企業くらいだろうか。武士と農民の間の境目は想像よりも緩やかで、姻戚関係を結んだりしている。分類上は…

高山文彦『麻原彰晃の誕生』

https://bookmeter.com/reviews/86021584 オウム真理教以降の麻原彰晃というより、オウム以前の松本智津夫の話。まっとうな努力や勉強の仕方が分からない、でも「自分はすごい」とどうしても信じたい、そうした特性が、地道にやるのではなく虚飾やオカルトや…

鈴木理生『江戸はこうして造られた』

https://bookmeter.com/reviews/86021623 人が密集して住むには上下水道の整備が必須になる。電力のない時代は水の流れを地理的な高低差、ポテンシャルエネルギーに頼るしかない、という観点から見つめると江戸は確かにそんな作りになっているという。あるい…

角幡唯介『空白の五マイル』

https://bookmeter.com/reviews/85463059 極限状態まで行ってギリギリ生き残る話を見ると、人間は本当にあっさり死ぬこともあれば、しぶとく死なないこともあって、強いのか弱いのか分からなくて不思議な感じがしてくる。でもそれは運で全部決まるわけじゃな…

矢野香『一分で一生の信頼を勝ち取る法』

https://bookmeter.com/reviews/85464052 聴衆への話し方のハウツー本。会社で「話し方の研修」を強制受講したんだけどあまり得るところがなくて、その分野で面白い本がないかなと思って探したら評判良さそうだったのが本書で、実際読んでみたら面白かった。…

佐藤優『官僚の掟』

https://bookmeter.com/reviews/85511781 既存の官僚機構を無化する形で「第2官僚」が形成されていくプロセスが語られているのが面白かった。自民党内部にあった「日本経済再生本部」を内閣に移し、民主党政権下で停止されていた「経済財政諮問会議」を復活…

岡田尊司『マインド・コントロール』

https://bookmeter.com/reviews/86305119 マインドコントロールと「効果的な訓練」は紙一重なところがあって、外部の情報を遮断し、一つの目的に集中させる環境が重要な点では、テロ組織でもスポーツクラブや全寮制の進学校でも同じだという。他にもマインド…

兵藤裕己『後醍醐天皇』

https://bookmeter.com/reviews/86248482 徳川吉宗もそうだけど、本来就任するはずのなかった人が偶然の重なりで就任すると、危機感やしがらみの無さから大きな変化を起こすというパターンがあるんだろうか。後醍醐天皇は網野善彦の『異形の王権』のイメージ…

武部健一『道路の日本史』

https://bookmeter.com/reviews/86248396 京大を出て高度成長期に建設省で高速道路のルート計画してたら、至るところで古代遺物にぶつかって止まるので何だと思って調べたら、律令制の時代に馬の高速道路網(=通信網)が整備された跡だった。その後に中央集…

川越史郎『ロシア国籍日本人の記録』

https://bookmeter.com/reviews/82237432 戦後、シベリア抑留で強制労働させられた著者が、そのままソ連にスカウトされてロシア国籍を取得してソ連で生活するという自伝で、月並みだけど本当に人生ってどこでどうなるかわかんないなと思う。自分の母方の祖父…

熊倉功夫『後水尾天皇』

https://bookmeter.com/reviews/82237386 江戸時代初期、徳川家光と同世代で85歳まで生きた天皇の話。体制が安定する過程で天皇家と公家の実権が削がれていく。「文化・学芸の中心になれ」という新しい役目を持たされてそれを実現させていくのが、新時代を迎…

木村泰司『印象派という革命』

https://bookmeter.com/reviews/82237342 芸術運動も時間軸と空間軸の両面で文脈を考えると、どういう意味でその当時は革新的だったかがはっきりして、印象派についてその辺を解説してくれる。画商も個展もなく、ネットもない時代に、自分の絵を世間に認めて…

魚住昭『渡辺恒雄 メディアと権力』

https://bookmeter.com/reviews/82196352 自分で作ったわけじゃない大きな組織(読売新聞社)を後から入って完全にハッキングする具体的な事例・経緯だった。「記者のあるべき姿」「報道機関の意義」といった大きな視点での本来の目的をばっさり切り捨てる、…

柄谷行人『世界史の実験』

https://bookmeter.com/reviews/82196329 実験の史学=歴史の自然実験は、よく似た複数のシステムを比較して顕著に異なる点を見出だして、違いがもたらす影響を分析するというアプローチで、ジャレド・ダイアモンドや柳田国男もその方法で歴史を分析しようと…

佐藤優『神学の思考』

https://bookmeter.com/reviews/82196277 佐藤優は17年前『獄中記』で神学のまとまった著作の予告をしていて、本書と『神学の技法』がそれかもしれない。宗教は愚かな人が無条件に信じて縛られる(だから無宗教の自分は偉い)、と頭が悪いわけじゃない人でも…