やしお

ふつうの会社員の日記です。

2020-05-09から1日間の記事一覧

野口孝行『脱北、逃避行』

https://bookmeter.com/reviews/89506328 前半が中国→ベトナム→カンボジア→日本と脱北者を逃がす仕事(成功例と失敗例)の話、後半が中国の地方で8ヶ月間の拘置所生活の話で、どっちも想像したことすらない話ですごく面白い。拘置所は厳しい面とものすごく緩…

川北隆雄『財界の正体』

https://bookmeter.com/reviews/89506289 財界(日本経団連や同友会)が一貫して消費増税賛成なのは、法人税引下げと厚生年金・健康保険の企業負担引下げの財源にしてほしいから(ただし日商は中小企業の代表であり消費増税によるダメージの方が大きいから消…

デイヴィッド・ハルバースタム『ベスト&ブライテスト(上)』

https://bookmeter.com/reviews/89506252 よく日本の政策決定(特に大平洋戦争時の意思決定)は外国より非合理的だと語られるが、たとえ米国であっても状況が重なると取り得る選択肢を狭めてベトナム戦争の泥沼に突入してしまう、という実例を丁寧に描いてい…

明智カイト『誰でもできるロビイング入門』

https://bookmeter.com/reviews/89506130 ロビイングって、業界団体がお金の力を背景に利益誘導をしていく漠然としたイメージがあったけれど、本書が描くのは社会的弱者や見過ごされがちな課題をいかに官僚や政治家に届けて政策に反映させていくかという手法…

岩崎育夫『物語 シンガポールの歴史』

https://bookmeter.com/reviews/88951329 なぜマレー半島の先っぽに小さな国家が独立して存在するのか、なぜ経済的には自由主義なのに政治的には独裁なのか、というシンガポールへの素朴な疑問があった。植民地時代に経済的に発展し過ぎた+中国系住民がマレ…

二井将光『薬学教室へようこそ』

https://bookmeter.com/reviews/88951838 「薬物代謝酵素」の概念が知られてよかった。細胞の膜は油になじみやすい、だから薬は脂溶性になっているが、最後は排出しないとダメなので、尿に溶けやすく水溶性に変えたり、排泄されやすいよう分子量を大きくする…

岩渕美智子『東日本大震災と政治 政治は動いていないのか』

https://bookmeter.com/reviews/88951162 ニュースだけを見ていると首相や主要閣僚の言動は見えても、他の副大臣・政務官・官房副長官・首相補佐官といった行政府に入った国会議員の動きは分かりにくい。特に災害時などの非常事態でどう動いているんだろうと…

今井良『内閣情報調査室』

https://bookmeter.com/reviews/88960954 第二次以降の安倍政権で、官邸官僚の中でも首相に最も重用されているのが、今井尚哉首相補佐官兼秘書官と北村滋国家安全保障局長(前内閣情報官)で、前者が政策面、後者がインテリジェンス面で支えている(むしろ首…

森功『官邸官僚』

https://bookmeter.com/reviews/88967450 「側近官僚に全幅の信頼を寄せる首相」と「その期待に応えようとする官僚」の相互依存があって、そこに「政治主導・官邸強化の体制」が組み合わさると、とことんまで「国民のためではなく政権維持(支持率の維持)だ…

唐亮『現代中国の政治』

https://bookmeter.com/reviews/89506111 中国は出張で時々行くけどあまり政治・社会体制もよく理解していなかったので、知りたいと思って読んでみたけどその辺がすっきり解説されているわけではなかった。著者の主要な関心は中国の民主化の経緯と展望にあっ…

佐野眞一『凡宰伝』

https://bookmeter.com/reviews/88950990 小渕元首相は合気道四段で実際に強い、大学時代に国会の乱闘を見て政治家に必要な技術と思って習得、という話で笑ってしまった。色んな議員が、世襲だから無能だと言われがちだけど、むしろ党のブランドで当選する小…

クロード・レヴィ=ストロース『仮面の道』

https://bookmeter.com/reviews/88967573 北米西海岸のネイティブアメリカンに伝わるお面の意味を浮かび上がらせていく営み。こうしたお面を博物館で目にする機会はあっても、単にフォルムが面白いとか力強いなくらいにしか考えたことがなかった。面の特徴を…

ジェフ・サザーランド『スクラム』

https://bookmeter.com/reviews/89506060 料理でも「なんか分からんが美味く/不味くできた」ということはあるが、条件や手順を明らかにして、言語化して再現性のある技術にまで持っていくのと同じように、仕事でもチームの生産性が妙に上がる/下がる場合が…

佐藤優『交渉術』

https://bookmeter.com/reviews/89506021 交渉の技術を体系的に整理した本ではなく、著者が外交官として体験したり見聞きしたエピソードを並べたもので、他の著書をいくつか読んでいれば特に目新しいものではなかった。それでも、90年代後半~00年代初頭、橋…

MB『最速でおしゃれに見せる方法』

https://bookmeter.com/reviews/86652010 感覚的に共有されたものを、言語化・体系化する試みはやっぱり面白い。「街着でダサくない状態」を構成する原則が何かを提示して、そのバランスを取る作業を言語化して「ファッション感覚」の高い人が内的にどういう…

井上寿一『戦争調査会』

https://bookmeter.com/reviews/86651976 プレイヤー全員が日米開戦回避を目指していて、それぞれ方針や戦略を持って対応していたら、全体ではバラバラな動きになって最悪の選択を最終的にする、みたいな光景がここでも確認されている。敗戦直後でまだ関係者…

隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』

https://bookmeter.com/reviews/86651946 いい意味でタイトル詐欺というか、「日本は文系と理系に分かれている」理由より、そもそも学問の分野って何、どうして分類される必要があるんだ、って話を、大学組織が世界で誕生した地点に遡って考えていく本だった…

池上彰、佐藤優『ロシアを知る』

https://bookmeter.com/reviews/89507364 基本的なロシアの感覚として、国境の外側に自国軍を展開できるバッファがないと不安、というものがあって、その観点でバルト三国やフィンランド、ウクライナや中央アジア、あるいは極東での意思決定のロジックが理解…