やしお

ふつうの会社員の日記です。

磯崎憲一郎『往古来今』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/30026495

シンボリックな物や事(子犬や母親の送迎や枝投げ等)への驚き(どうしたことだ!の感嘆符)の羅列は、例えばガルシア=マルケスの「族長の秋」で意味を見出さず事物をごろごろ転がしたままにされた記憶の前では退屈だし、それら事物の時空間を隔てた反復は、意味でなく言葉のレベルで反復を徹底してみせた金井美恵子の「ピース・オブ・ケーキ〜」の前で退屈だ。むしろ脱走する山下清が衣類を紐で十字に縛る瞬間や、大人達が嫌悪を抱くトウキビの山に子供達が駆け上がる瞬間、意味が無に帰す瞬間に、個人的にはこの著者への歓びを一貫して感じてる。

往古来今

往古来今