- 自分が好きなインターネットの断片をストックしたい
- ブックマーク機能ができる
- みんなのブックマークを集積すれば、ぼくが知らなかった、でもぼくがまさに見たかったインターネットが見つかるかもしれない
- ソーシャルブックマークが誕生する
- 自分がどうしてブックマークしたのか後からわかるようにしたいな
- タグ・コメント機能がつく
- みんながどう思ってブックマークしたのかも知りたいな
- タグ・コメントが一覧となって公開される
- あれ、みんなが褒めてるけどこの記事、まちがってるぞ! 教えてあげなくちゃ。そうだ、コメントを書けばみんなわかってくれるぞ!
- 批判的なコメントのブックマークがつく
- あの人批判してる! でもぼ、ぼ、ぼくのほうが頭いいもんね! わかってるもんね!
- 批判的なブックマークがつき続ける
- ためになるわけでも、面白いわけでも、存在の不思議さを愛でたくなるわけでもない、ただ叩きたいだけのインターネットの断片が浮上してくる
- どうして……ぼくはただ、ぼくが知らなかった、でもぼくがまさに見たかったインターネットを見つけたかっただけなのに……
自分はわかっている。その自己顕示欲を無化するために、コメントは匿名で羅列されるようにしたとする。すると今度は抑制が外れてかつてのヤフコメの罵詈雑言が復活する。今のヤフコメの穏やかな顔立ちに物足りなさを覚える我々にとっては歓迎すべき光景かもしれない。
さかのぼって「みんながどう思ってるのかも知りたいな」という欲望に加担した姿勢を責めることもできよう。ランキングが大好きで、みんなが好きなものがぼくが好きなもの、自分がどう思うかじゃなくみんながどう思うかが大切なんだ、そんな態度を否定するのだ。つまりコメントの一覧の廃止だ。各ユーザーのページにコメントはあっても、各記事に対する一覧はない。「この人」がどう思っているかを知ることはできても、「みんな」がどう思っているかを知ることは許さない。
失われる効果があるとすればそれは、優れた収集家を見つけ出して追従する機会が減る点だろうか。では被ブックマーク数を多く集めた記事について、初期にブックマークをつけていたユーザーにスコアを加算していけばどうか。スコアの高い=いい記事を発見する能力の高いユーザーを明示しようという寸法だが、そうは問屋が卸さない。「自分が好きなインターネットの断片」ではなく「みんなが好きそうな断片」を集める者どもが蠢き始めるであろう。
知ったことか! ソーシャルブックマークのシステムのあり得べき姿を考えるなど無意味だ。私はただの会社員でしかない。プリングルスのことでも考えている方がはるかに有意義だ! おぉ、お願いヒゲのあなた。いつでもロング缶198円でいてちょうだい。