やしお

ふつうの会社員の日記です。

ブログ健康法

 特に何かに意識を向けていない時、具体的な誰かを思い浮かべてずっと何かを説明している。歩いている間やシャワーを浴びている時、部屋で特に何もしていない時に、会社の人や友人、あるいは存在しない自分の子供や、出たこともない記者会見で記者に、何かのテーマでひたすら説明している。やろうと思ってやっているのではなく、気づくと始めていて延々と時間を消費している。
 一日のうちどれほどの時間をこの仮想説明会に費やしているのか、記録をとったり計測したりしたわけではないから分からない。しかし少なくない時間を浪費している。特に誰とも会わずに一日部屋で過ごしていると、意識して読書や映画鑑賞や家事に時間を振り分けない限り説明を始めている。
 自分以外の人がどれくらい仮想説明に費やしているのかも聞いたことがないのでわからない。今こうして文章で書いているから、改めて意識しているだけで、今まで当たり前にしていたから人に聞いたことがない。


 この仮想説明会が全く無益だとは思っていない。はっきり言葉で説明するシミュレーションをすれば、実際に他人を前にする機会を得た時、多少上手に話ができるかもしれない。一方でかなり無益な部分もある。全く同じテーマを際限なく繰り返してただ時間の浪費をしてしまうという点だ。目で見えるわけでもなく、記録に残るわけでもなく、ただ流れて消えてしまうので同じことを説明していても意識しない限り違和感がない。そうしてふと気づくと、時間を浪費して何か損したような気になって嫌悪感にさいなまれる。


 いっそある程度きちんと形にして残せばかえってすっきりする。ぐるぐる頭のなかで同じ言葉を繰り返すよりは、はっきり書き出してしまえば同じことは書けないし、それまで見えなかった論の弱点も明確になって考えをもっと進めることもできる。ついでにブログなり何なり、人の目に触れる可能性のあるところに載せるという緊張感を保てば、形をきちんと整えようという気にもなる。
 実際、自分としての最大限というつもりで全力で一度書くと、もはやそのテーマは自分にとってケリがついたようになるせいか、その後ほとんど脳内の説明会に出てこなくなる。
 脳内説明会を繰り返すよりは、多少一般化してでもブログにでも書いたほうが健康にいいかもしれないと最近すこし思っている。