やしお

ふつうの会社員の日記です。

2018-04-25から1日間の記事一覧

伊勢崎賢治『武装解除』

https://bookmeter.com/reviews/71545175 東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンで紛争の後処理の現場を管理職・決定権者として担った人の本。国家の安定は、暴力装置が文民の手で独占的に一元管理できている状態が前提で、そこが崩れると紛争状態にな…

小池洋次『政策形成の日米比較』

https://bookmeter.com/reviews/71376861 アメリカの強力な政治任命制度は、そもそも労働市場の流動性の高さが基礎になっていて、学界と官界の行き来が可能だから成立する制度だろうと漠然と想像していたが、さらに立法府と政府の緊張関係によっても支えられ…

赤攝也『集合論入門』

https://bookmeter.com/reviews/71171074 直感的に正しく思われる既存の概念を拡張すると、そこから見る景色はもはや直感的には正しく見えなくなるのは刺激的だ。例えば「要素の個数」を無限集合に拡張すると「濃度」という概念が得られるが、奇数、自然数、…

ブレイディみかこ『ヨーロッパ・コーリング』

https://bookmeter.com/reviews/71396697 '14〜16年の英国の様子を内側・下側から描いたレポートだが日本と本当に良く似ている。格差社会が進行しホームレスは排除されイスラムと生活保護受給者を憎み極右政党が躍進しかけたかと思うと保守化していた左派の…

柄谷行人『内省と遡行』

https://bookmeter.com/reviews/71396640 ニーチェやソシュールやフロイトやマルクスが見せる、矛盾や断言の回避、非言及について、それを解消して整合を取ったり体系化すると彼らの何が見失われるか(そうした実際の試みとそれが何を見失ったか)が語られて…

青木人志『「大岡裁き」の法意識』

https://bookmeter.com/reviews/71436703 日本の今の法体系は、明治にドイツの法律を参考に構築し、第二次大戦後にアメリカの法思想が追加された、大陸法と英米法のハイブリッドだという認識でいたけど、実は明治初期は英・仏の影響が優位で法律の専門家も招…

相原茂『はじめての中国語』

https://bookmeter.com/reviews/71376823 中国語が母語の日本語話者が「とてもきれいのことあります」「すごくおいしいの食事」と不要な「の」を挿入する傾向は何に由来するのだろうと前から思っていたが、中国語の文法上「很」や「非常」の「とても」の意味…

丸島儀一『キヤノン特許部隊』

https://bookmeter.com/reviews/71376771 キヤノンの強力な知財戦略が、カメラメーカーだった→フィルムメーカーに「お前らのおかげで儲かっている」と言われる→消耗部品を売る必要を感じる→普通紙複写機に挑戦する→ゼロックスの強固な特許網を破る必要がある…

丸山工作『新分子生物学入門』

https://bookmeter.com/reviews/71415877 ゲノムは生物の設計図なので解読できれば全部わかる、という話には全くならなくて、設計図があっても工程フローがなければ製品ができないように、遺伝子の発現を抑制する機構とセットでないと意味がない、という話が…