やしお

ふつうの会社員の日記です。

福島章『犯罪心理学入門』

http://bookmeter.com/cmt/62947071

30年以上前の本なので生理学的な知見とかはたぶん古いけど、たくさんの事例で「犯罪者の側からはどう見えているのか」を語っているので面白い。皆が自分を攻撃しようとしてて助けを呼ぶのに必死で放火したとか、実行前より逮捕後の方がほっとしてるとか。もともと自分の物であるべきだと思って窃盗したとかいう話は、鈴木大介『老人喰い』で振り込め詐欺犯が、本来若者や弱者に回るはずの金を溜め込んでいる老人から取り戻しただけ、という物語を抱えているのと似ている。こうした心理は病的・犯罪的な水準にならないだけでみんな無縁じゃないし。


 あと、自分を罰するためにあえてすぐ見つかる犯罪を犯すとか、相手に虐げられてた人が「また立ち上がってきそうだったから」という恐怖から死体をバラバラにするとか。


 極端な例だといっても、連続的に自分も軽い形で(社会的に問題かしないレベルで)そうした気持ちは働いてると思って見た方が、他人事として見るよりも楽しい。
 最大と最小、ワーストケースとベストケースを両方とも見て、その論理も把握して、ようやく正確に自分の居場所が把握できる。


犯罪心理学入門 (中公新書 (666))

犯罪心理学入門 (中公新書 (666))