やしお

ふつうの会社員の日記です。

戸田山和久『恐怖の哲学』

http://bookmeter.com/cmt/62227157

人間がどのように恐怖し得るのか、そもそも恐怖とは何で、恐怖が動物的な機能を起源に持つならなぜ虚構の作品を本気で怖がりながら逃げずに楽しめるのか、といった機序をワンステップずつ反証や例証を挙げつつ丁寧に構築するプロセスを見せる。体系が現実から遊離しないよう生理学的なエビデンスと結び付けてく。構築の過程を見せる本なのでお門違いだけど、わずかな仮定で純粋な理論体系が現実を豊かに捉える様をいきなり見せられる方がエンタメとしては実は楽しい。たとえ謙遜でも諦めでも「へっぽこ哲学者」なんて自分のこと言ってほしくないよ。