やしお

ふつうの会社員の日記です。

増田俊也『七帝柔道記』

https://bookmeter.com/reviews/95925269
「部活もの青春ストーリー」なのに、見たことのない地獄の光景で面白い。89年の北大柔道部が舞台の自伝的小説。コミュニティの新メンバーは、肉体と精神、自尊心をズタボロに破壊された上で、自分で「所属する意味」を考えてのめり込む、というプロセスは、一種のマインドコントロールで、詐欺セミナーや宗教団体の手法と基本変わらない(目的・効果で正当化されるかが決まる)。岡田尊司マインド・コントロール』で、強固なコミュニティへの帰属意識を持つ人は、拷問や飢餓の苦しみに耐え抜けると指摘されるが、まさにその姿がここにある。

七帝柔道記 (角川文庫)

七帝柔道記 (角川文庫)