やしお

ふつうの会社員の日記です。

2017-06-08から1日間の記事一覧

ポール・ウィリス『ハマータウンの野郎ども』

http://bookmeter.com/cmt/61834919 学校の不良グループの存在が、離れて見ると階級構造への異議になっていて、さらに離れて見るとそれすら資本主義の肯定になっているという1977年のイギリスでの指摘。いい成績を取っていい職に就けという学校の言い分は、…

カール・マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』

https://elk.bookmeter.com/reviews/61396728 国王をやめて国民議会を立てたのに、わずか3年で皇帝の独裁に逆戻りした、しかも国民の圧倒的な支持でそうなった、フランスの19世紀なかばの経験をマルクスが書いたルポ。各種勢力が手を結んだり離反したり、支…

草野厚『連立政権』

https://bookmeter.com/reviews/64741972 自民単独→非自民連立→自社さ連立の経緯を知れば、12年の民主党政権を理解するヒントになるかもと思って読んだら、ずっと最大野党だった社会党が与党として首相を出してから、政策的に妥協を繰り返しながら支持を失っ…

石井光太『絶対貧困』

https://bookmeter.com/reviews/64741927 「貧すれば鈍する」「貧乏暇なし」という言葉は、お金がない=生活上の全分野でバッファがなく、金の工面に忙殺される結果、本人の知性も時間も蹂躙されるってことで、これが極限(絶対貧困=一日1ドル以下の生活)…

白洲正子『世阿弥』

https://bookmeter.com/reviews/64741894 世阿弥ってちょっとイエスに対するパウロの立ち位置に似てて、観阿弥がすごかったので体系化して文書に定着させてジャンルの発展に貢献した一方、柔軟性を失わせた側面にも寄与してるみたいな。ただ超えられない人と…

手嶋龍一『外交敗戦』

https://bookmeter.com/reviews/64741840 イラクのクウェート侵攻→湾岸戦争→終戦という一連の流れの中で、日米欧中東の政治家、官僚、外交官、企業などの膨大なプレイヤーがいつどう判断して動いたのかを三人称多元視点の形式で描く。資金面だけでなく、イン…

網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』

https://bookmeter.com/reviews/64741738 中世でも近世でも、日本は農業(収穫高・土地)ベースで記録してたから、小作農・水呑百姓は土地もない貧しい農民と思われてたけど、公式ではない記録(ふすまに再利用されていた文書など)を辿ったら、実は大きな船…

冲方丁『光圀伝(下)』

https://bookmeter.com/reviews/64741692 上巻は、すごい人から学んで成長するってサイクルが気持ちいいけど、このままこの繰り返しなのかなと思ってたら、下巻に入るとむしろ自分が他人を成長させていく側に転換して、ほとんどマネージャー/リーダーの苦悩…