やしお

ふつうの会社員の日記です。

上野正彦『死体は語る』

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21448620

専門分野(監察医)の知見や体験談をちりばめつつ最後に、底の底から疑ったわけではない、通俗的に反感を呼び覚まさない結論を断言する文章が「エッセイ」だと、昔はたしかに自分も信じていたことを久しぶりに思い出した。びっくりなのは「医学と法律」で性転換手術後の遺体の検死体験について「見事に男が女に化けている」「日本もおかしな国になった」「中性の人間が男にふられ、失恋するというのも不思議」等々書かれていて80年代中ごろは建前もなしにこれが通ったのかと思うと暗い気持ちになりつつ、時代の状況証拠には有用かもね(せめて)。


 「専門分野(監察医)の知見や体験談」の部分は面白くよみました。
 ただ上に挙げた以外にも相当違和感を覚える部分が多くて。
 当たり障りのない結論をわざわざつけなくても、「専門分野(監察医)の知見や体験談」をひたすら積み重ねればいいじゃん、と思ったけど、それは新書の仕事だった。

死体は語る (文春文庫)

死体は語る (文春文庫)