http://bookmeter.com/cmt/42646100
製品デザインの話じゃなかった。モノじゃなくシステムや体験をデザインするって精神や方針の話。ユーザー体験をするとか極端なユーザーの声を聞くとか、一般化するとつまんない話を、デザインコンサルのトップがわざわざ言うのは、それを個人でなく組織で実践してる企業がいかに少なく難しいかってことだ。全体に一般化した話が続くのでかえってこの人の実体験を徹底的に分析して語ってくれたらかなり面白そうだ。気軽なプロトタイプ製作の重要性を各所で強調してて最後に、人生自体をプロトタイプだと認識してるって話でてきてガチ勢だなと思った。
漸進的な製品・サービスを生み出してくことも大事。だけどイノベーティブな製品・サービスも生み出していかなきゃ駄目。っていう認識はまさに、後期(末期?)資本主義的なんだろうなと思った。彼の言う「デザイン思考」がそうしたイノベーションに有効なアプローチで、現在十分に浸透していないとすると、早晩それが方法と化して模倣が行き渡って優位性が失われる。そうするとより強力なイノベーションが要求されてくる、という資本主義のシステムに根ざした加速がここでも起きて、ますます人間の首が絞まってくんだろうなと思って、明るく力強い著者の主張を暗い気持ちで読んでた。
デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ティム・ブラウン,Tim Brown,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/05/10
- メディア: 文庫
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