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不安感をいかに取り除くかという本。膨大な条件に囲まれてみんな生きてるけど、その一つ一つが所与なのか、自分で操作可能なのかをはっきり分別する、という前提になってる。所与の条件は自分でどうしようもない以上、悩む必要がなくてそのまま受け入れる。受け入れた上で、じゃあ何ができるか考える。ってスタンスだ。それで基準位置が変わる、ありえない理想や事態を基準に嘆くよりも、今を基準に取り組めば自ずと不安感が消える。『人を動かす』(1936年)の方が内容というか作り自体がテクニカルで面白いけど、本書(48年)の方が新しい。
あと面白かったのが、睡眠や休息の取り方だったり、職業の選定の方法だったり、お金との付き合い方だったりを、かなり詳細に具体的に書いてるところ。その辺がうまくいっていないと極端に不安が増大しちゃう、という著者の認識の表れだと思うけど、70年近く経ってる現時点でもあんまり変わってない。
睡眠、金銭的余裕、栄養、筋力、自己肯定感のどれか欠けていると人は他人に攻撃的になる、というようなことを1年くらい前にツイートしたけれど、実はもう70年前にほぼ同じことが言われているという。しかも本書は膨大な事例を紹介して説得力を持たせてくるけど、たびたび「こうしたことは千年前から言われてるよ」みたいな感じで古典も引いてるから、人間の基本的な条件はあんまり変わってないってだけか。
- 作者: D・カーネギー,田内志文
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/11/22
- メディア: 文庫
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