http://bookmeter.com/cmt/50935045
森田療法(という自己コントロール法)を知らなかったけど、自分がずっと以前からやってたことそのものだったので、実践的に解決しようとすれば同じ方法に行き着くんだ。欠点(あがっちゃうとか)を無理矢理なんとかしようとするから余計おかしくなるので、そのまま受け入れて、所与の条件と見なして、その上でどうできるか考えよう、という話だけど、これは「自分が何を抑圧しているのか」の自覚が前提になる。その実現が最も難しいけど本書では「欠点が露わになる場面に本人をぶちこんで自覚させる」という方法論だけ紹介してて、ちょうワイルド。
これ読んでたら島尾敏雄の「死の棘」を読み返したくなってきた。
本書では不問に付されているけれど、どうしてあきらかに固定的な条件じゃないものを固定的で不動だと思い込むと、周りがどう言おうとその思い込みはまるで解除されないのか、その強固さはなんに由来するのかという点が、もうめちゃくちゃ知りたいところなんだ。実感としても、ほんとに憑き物が落ちたって感じで、(えっなんで俺こんなことに今までこだわってたんだ?)みたいになるけど、どうしてそれまでの間は、本人にとっては選択の余地なく思い込んじゃうんだろうかというのがはっきりしないと、結局意味ないじゃんねという感じ。
本書で対応法として「欠点が露わになる場面に本人をぶちこんで自覚させる」というやり方だけが紹介されているのはそういう意味では示唆的で、これはぜったいに周りがどれだけ説明したって無駄で、本人が体験してみないとぜったいにわからないという認識が前提されている。実は人は、目で見たことや感情が起こったことを、理屈の整合性よりだんぜん重視しちゃうっていう条件に縛られてるってことを意味してるけど、それがなんでなんだっていうのを生理学的、進化論的でない形で把握したいっていう。
- 作者: 岩井寛
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1986/08/19
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