やしお

ふつうの会社員の日記です。

井手英策『財政から読みとく日本社会』

https://bookmeter.com/reviews/112037287
日本が他の先進国と比較しても、極端に公務員の数が少ない「小さな国家」だとは知っていたが、どういう経緯でそういう社会になっていったのかは、本書で知って非常に面白かった。予算を、内容ではなく総額の抑制を重視する財政は、戦前の1930年代のインフレ懸念に端を発していて、戦後の高度成長期の入口で池田内閣にて勤労・自助(所属税の減税+公共投資拡大)のコンセプトを据えて社会を構築してきたためという。これを「勤労国家」という概念で整理していく点に本書の面白みがあった。