やしお

ふつうの会社員の日記です。

2022-01-31から1日間の記事一覧

亀石倫子・新田匡央『刑事弁護人』

https://bookmeter.com/reviews/104157479 「最高裁大法廷での弁論」という、著名な刑事弁護人でも一生に一度も経験しない舞台へたどり着いた経緯を描いて、読んでとてもドキドキするドキュメンタリーだった。刑事弁護の流れも詳細によく分かる。一方で、こ…

松岡圭祐『小説家になって億を稼ごう』

https://bookmeter.com/reviews/104157434 「宝くじの高額当選者に配られる戒めの冊子、そのベストセラー作家版」が本書のコンセプトの表現として一番しっくりくる。「舞い上がらない」「自分の仕事に専念する」「不遜な態度を取らない」「過大な要求はしな…

武光誠『知っておきたい日本の神話』

https://bookmeter.com/reviews/104157372 どの神がどの神の子供で、その神はこの神に敗れたなどの神話は、神話が整理された時点の権力者(天皇家)の正統制の保証や臣下の関係、一族の勢力関係などを反映している、ということがよく分かる。古事記・日本書…

ロラン・バルト『表徴の帝国』

https://bookmeter.com/reviews/104157306 俳句のことを「時間のなかに刻まれた軽い傷跡の一種」と言われると、あんまりにもぴったりした言い方に思えてくる。日本語、書、パチンコ、地図、文楽、顔、等々、確かに日本の様々な事象を題材に色々論じられてい…

村木厚子『日本型組織の病を考える』

https://bookmeter.com/reviews/104157284 検事が、事件の真相解明などではなく、起訴→有罪にすることに強くインセンティブが与えられているというのは、検事本人のみならず社会全体にとっても極めて不幸なことだ。逮捕起訴された経験談だけでなく、本書は、…

辻井喬『茜色の空』

https://bookmeter.com/reviews/104157258 元首相・大平正芳の生涯を見ると、自民党宏池会の「大蔵省の官僚が時代状況に要請されて国会議員となってグループを形成していった」という源流がよく分かる。「政治家になりたくてなった」わけでも「親が政治家だ…

鏡リュウジ『タロットの秘密』

https://bookmeter.com/reviews/104157224 神秘的なわけでもない賭博・ゲーム用のカードが、どういうわけか「古代エジプトに起源を持ち運命を読むもの」とされていった歴史が描かれる。そうした客観的な経緯を把握しながら、それでもなお「占い」ができるの…

小沢健志『幕末 写真の時代』

https://bookmeter.com/reviews/102521892 150年以上前でもかなり高い解像力で非常にクリアーな写真が残されていて、転倒した感覚だけど、時代劇の俳優を今写したみたいだという不思議な気持ちになった。幕末の時点では人生(場合によっては生命)をかけて、…

高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学』

https://bookmeter.com/reviews/102521836 「教授が未解決の定理を説明したら5分後に証明を提出してきた」「爆音で音楽を聞くせいで向いの研究室のアインシュタインの顰蹙を買う」「WW2で原爆開発等、米軍・政府の研究に協力し超多忙だが、移動中の列車など…

小島信夫『殉教・微笑』

https://bookmeter.com/reviews/102521784 何年か前に、旅行会社社員が遠足バスの手配を忘れ、しかし言い出せずに、生徒の自殺をほのめかすニセの手紙を学校に送って遠足を中止させようとしてあっさり発覚して全国ニュースになった出来事があった。小島信夫…

林貞年『誰でもできる催眠術の教科書』

https://bookmeter.com/reviews/102521713 リラックスの極端な形態が催眠状態で、催眠術は人をその状態に誘導・維持するための技術体系になっている。極端なリラックス状態=相手を信頼して極度に素直になっている状態だと考えると、催眠術が見せる「不思議…

逵日出典『八幡神と神仏習合』

https://bookmeter.com/reviews/102521683 もともと神は豪族(氏)と紐付いていたので、支配者交代時に不都合があった。普遍的な仏教の方が地方支配に都合が良く、「神様は自分が神様であること自体に苦悩している、それを仏教で解放する」という理屈で仏教…

西尾克洋『スポーツとしての相撲論』

https://bookmeter.com/reviews/102522994 実態を知るほど、大相撲のレギュレーションやプロ団体としての日本相撲協会は、純粋に競技として見るとあまりに不合理・不適格だと感じる。多数の競技者が病気(糖尿病・痛風)と怪我に苦しみ、引退後のキャリアパ…

喜瀬雅則『ホークス3軍はなぜ成功したのか?』

https://bookmeter.com/reviews/104157175 ホークスの事例含め他の多様な成功事例を見ても、「改善を愚直に実行した」「合目的性やコンセプトから逸脱せずにやり切った」という当たり前の話であることが多い。しかし「当たり前をやる」のが極めて難しいので…

海道龍一朗『真剣』

https://bookmeter.com/reviews/102753592 上泉信綱という人物が題材のビルドゥングスロマン。相反する要素が対立からアウフヘーベンへ至る、という構造が幾重にも配置される。剛(神道流)と柔(陰流)の融合・再構築で新陰流が生まれ、マネージャー(武将…

ジェフリー・フェファー『悪いヤツほど出世する』

https://bookmeter.com/reviews/102753498 「高い地位を獲得・維持・拡大するのに適した特性」と「高い地位で組織を動かすのに適した特性」には大きな乖離があって、リーダーは構造的にその緊張関係にさらされる。口当たりのいいリーダーシップ教育が、その…

藤生明『徹底検証 神社本庁』

https://bookmeter.com/reviews/102753422 初詣で・七五三・結婚式や観光地・パワースポットなど「地元の宗教施設」という神社の一般認識と、全国組織の神社本庁が右翼・国粋主義団体というギャップがすごい。地元住民の意向や歴史を無視して神社への人事権…