やしお

ふつうの会社員の日記です。

玉村豊男『男子厨房学入門』

http://bookmeter.com/cmt/62635791

初心者が料理を覚えるという体裁で、実態は料理の複雑化・分化過程を見せる本。「切る」の後で「煮る」を展開するとき、レストランの語源はごった煮、ポトフもポタージュもポは鍋の意味、ちゃんこの語源は鍋、肉を焼くのはハレで煮るのはケ、といった指摘をしつつ、煮るという行為からご飯や味噌汁を導出していく。あるいはA(水から出汁に至る濃度差)とB(みりんと醤油の混合比)の組み合わせで日本の調味が構成されていて、ここに油が加わると大陸の世界観になるとか。歴史的な過程というより工程や材料の共通点と差異から構造を構築していく。

男子厨房学(メンズ・クッキング)入門 (中公文庫)

男子厨房学(メンズ・クッキング)入門 (中公文庫)