やしお

ふつうの会社員の日記です。

富岡多恵子『漫才作者 秋田實』

https://bookmeter.com/reviews/99999763
現代の漫才が形成されてきた過程の中で、漫才師ではなく漫才作者として大きな役割を果たした秋田實を、詩人の富岡多恵子が描く本。(富岡は上方お笑い大賞の審査員を務めていて、審査員長が秋田實、という縁がきっかけだという。)東京帝大で左翼活動家だった秋田が、満州事変の起こった年にエンタツと出会い、戦時中も漫才作家として活動していく。戦後は散り散りになっていた漫才師たちをまとめている。それ以前の、粗雑・卑猥・低級というイメージだった漫才が更新されていく。鎌倉時代以降の漫才(萬歳)の歴史も概観していて面白かった。


 現在は、漫才作者が漫才師に台本を提供するというより、漫才師が自分の手でネタを作るのが一般的だと思うけど、秋田實が活躍していた時期からどうしてそう変わったんだろう、と思って調べたら、↓の記事が見つかった。
  「しゃべくり」を生み出す漫才作家 令和になり需要減っても「続けたい」キャリア45年作家の言葉(よろず~ニュース) - Yahoo!ニュース
 以前は10~15分のネタが主流で、売れっ子漫才師が自力で毎回作るのは難しく、そこで漫才作家の需要があったのが、80年代の漫才ブームから長尺ネタより10分以内のネタが要求されるようになり、現在はさらに短くなっているのが要因だという。放送作家などが漫才師にネタを提供したり書くことはあっても、完全に専業で漫才作者としてやっている人はほぼいなくなっている。