やしお

ふつうの会社員の日記です。

柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』

https://bookmeter.com/reviews/113340706
「自分は偉大である」と信じ込むこと。そして「偉大な自分」の幻想に、現実の自分を合わせようとすること。それをできるのは大きな才能だろうと思う。「天才」と呼ばれ得る人は、心底その対象への興味が尽きず没頭できる才能を持つとして(例えば将棋の藤井聡太棋士のように)、本書を読む限り、猪木はプロレスに対してそうした気持ちを持っていたようには見えない。ジャイアント馬場モハメド・アリへの葛藤や嫉妬、羨望などを原動力に、「偉大な自分」を自分自身に信じ込ませようと多大な努力を重ね続けていた人に見える。


 プロレスのことは全然知らないけれど、猪木が亡くなってふと(どういう人だったんだろう)と思って読んでみた。リアルファイトの異種格闘技戦を76年に戦っていた、それはその後の総合格闘技の(直接的ではないにせよ)先駆けだった、と初めて知った。本書は当時の周辺環境・状況も非常に詳細に解説して、「猪木がなぜそうしたか」を正確に描いて面白かった。


 そういえば参院議員としての猪木ってどういう時間軸だったっけ、とふと思ったので整理してみた↓
【第1期】
1989年 スポーツ平和党を結成
1989年 第15回参院選 比例区 初当選
1992年 第16回参院選 比例区 スポーツ平和党で1議席獲得(元野球選手の江本孟紀
1995年 第16回参院選 比例区 落選(江本は自由連合に移籍)
2004年 スポーツ平和党解散


【第2期】
2013年 第23回参院選 比例区 日本維新の会で当選
2014年 日本維新の会が分党。石原慎太郎共同代表を支持する次世代の党に参加→同年12月に離党
2015年 日本を元気にする会の設立と同時に参加、同党最高顧問に就任
2016年 日本を元気にする会代表の松田公太が辞任、猪木が代表就任→同年解散、無所属クラブに異動
2019年 国民民主党院内会派「国民民主党・新緑風会」に入会
2019年 第25回参院選に不出馬、政界引退