やしお

ふつうの会社員の日記です。

辻陽『日本の地方議会』

https://bookmeter.com/reviews/115028706
「二元代表制で(日本の国政と違い)議会が首長を支える必要がないのに、(米国の議会と違い)議会の権限が小さい」という特性があると、議会の役割が不明確になって無責任化しやすいというのは、なるほどと思った。地方議会がフォーカスされるのは、首長と議会が対立したとか、議員個人が不祥事を起こしたとか、ある地域で議員が絡む問題が発生したとか、トラブルにならないと報道されないこともあって、厳しい目で見られやすい。それで議員定数を削減したり議員報酬を減らすと、さらに住民との距離が空いて「何してるかわからない」となっていく。


 「地方自治体」と一口に言っても、都道府県と市区町村では規模も違うし、都道府県でも大都市を含むかどうか、市区と町村間にも人口・経済規模に大きな差があって、人口・経済規模が違うと、政党政治が向いているのかどうか、議員の専門性と地域の代表性のどちらが重視され得るのかどうかも違ってくる。画一的な選挙制度/権限配分といった制度設計だと難しい、という話が具体的にされている。画一的な選挙制度だと、小選挙区大選挙区が混在してもたらされる効果が違ってくる。
 途中で公明党の市議へのインタビューが入っていたのも面白かった。実は公明党のような組織だと、「やりたい人ではなくやってほしい人にやってもらう」ができて、かえってちゃんとやってくれる議員を生み出せるというのも、面白かった。


 本書の内容とは直接関係ないけど、あとがきで「中公新書で著書を出すこと」の喜びが語られていて面白かった。