やしお

ふつうの会社員の日記です。

2023-08-15から1日間の記事一覧

猿谷要『ハワイ王朝最後の女王』

https://bookmeter.com/reviews/115499475 「本人が望んだわけではない立場にあって、しかしその責任を全力で全うしようとした人」は本当に立派だし尊敬する(人命救助とか会社経営とか政治家とか)。リリウオカラニ女王がハワイ王国の王位を継承した1891年…

佐渡裕『僕はいかにして指揮者になったのか』

https://bookmeter.com/reviews/115499453 さかなクンや藤井聡太氏もだけど、究極的には「キャリア形成の方法」なんかより「常人離れして対象を愛して追求し続けられる」才能なのだと思う。佐渡裕氏も、自らチャレンジしたり人の懐に飛び込んだりはしていて…

南学編著『横浜 交流と発展のまちガイド』

https://bookmeter.com/reviews/115499432 横浜は、明治の開港以降、直線的に発展しているわけではない。戦後の連合国による接収解除が遅れ、高度経済成長のさなか、50年代半ば以降に解除が進んだという。東京のベッドタウンとしてスプロール現象が進展しつ…

中川右介『松竹と東宝』

https://bookmeter.com/reviews/115499412 京都の芝居小屋の売店の子として生まれた双子(白井松次郎・大谷竹次郎)が、劇場をひとつずつ手に入れて最終的に歌舞伎界を制覇する話と、山梨の裕福な商家に生まれて高い学歴を積んだエリート銀行員(小林一三)…

柄谷行人『ニュー・アソシーショニスト宣言』

https://bookmeter.com/reviews/115499402 新自由主義の弊害が見えてくると、福祉国家へ舵を切れという主張が増えてくるが、もともと福祉国家が維持できなくなったことで新自由主義が出てきている経緯を考えると実は非現実的で、そうではなくて「資本=ネー…

出口保夫『午後は女王陛下の紅茶を』

https://bookmeter.com/reviews/115499381 80年代に書かれた英文学教授による紅茶にまつわる優雅なエッセイ集。もともとイギリスでティと言えばミルクティが当然だったのが「最近は」プレーンティが増えてきている、と当時の変化に言及されていて面白かった…

森功『腐った翼 JAL65年の浮沈』

https://bookmeter.com/reviews/115499361 著者のルポは面白いし複数読んでるけど、どうしても構図を描くまでで、構造を示してはくれない。歴代経営陣の派閥争い、規制産業であることの甘え、複数の労働組合の反発等々の事象がJALの腐敗を招いたとしても、そ…

渡辺努『世界インフレの謎』

https://bookmeter.com/reviews/115499327 物価変動は人々の予想によるもので、何かの実体に紐付いたものではなく基本的には遊離したもの。ただ予想に影響を与える要素が多岐に渡る。日本で90年代後半から30年近くに渡って形成されてきた、消費側の値上げ忌…

宮本輝『優駿(下)』

https://bookmeter.com/reviews/115499301 基本的にプレイヤーそれぞれが何かしらの後ろめたさ・暗さを抱えていて、その暗さが物語を進める力として機能している。その中にあってこの長編の冒頭を飾った博正だけが光のように明るく存在していて、最後までそ…

宮本輝『優駿(上)』

https://bookmeter.com/reviews/112037775 長編だけど、第1章の競走馬が誕生し、牧場の青年が川へ祈る神話のような話単体でも、物語の強度が高く、ひとつの短編として成り立ちそうだ。競走馬そのものは、人間のような意思を持たず、各章の視点人物にはなり得…

伊藤嘉章監修『図解 日本のやきもの』

https://bookmeter.com/reviews/115499249 日本の陶磁器について、産地別ではなく経時的にコンパクトに整理された本。プロローグの中で、焼き物の産地を問うことは、一義的には①焼かれた場所、同時に②特徴や技法の両者が含まれる(産地ごとに歴史に基づく作…