やしお

ふつうの会社員の日記です。

諏訪哲史『アサッテの人』

http://bookmeter.com/cmt/43281445

叔父がアサッテの効果を高めるため逆に凡庸を推し進めるって話がテクスト内で進行しても、テクスト自体の形式はあくまで安全なのがどうしても退屈。作者はメタフィクションを嫌悪する作品だと後書きで語るけど、叔父のその戦略を形式でも展開=フィクションを推し進める(メタフィクショナルな視線を抑圧する)ことで逆にメタフィクションの最高の批判になるのでは、カフカみたいに、と思うのはでも何十億に一人みたいな水準を要求する酷な願いで、ルールに最適化した結果、形が変わってしまうって事態を構築して見せてくれただけでも感謝しよう。

アサッテの人 (講談社文庫)

アサッテの人 (講談社文庫)