やしお

ふつうの会社員の日記です。

松原岩五郎『最暗黒の東京』

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日清戦争前・産業革命前の明治東京のルポ。現在の観光地のイメージだと人力車は健康的で快活なイケメン青年が引くものだけど、当時は3割の車夫が虚弱者と老人で、遅く距離も走れないが安く、お金を恵んでもらって低頭する姿が描かれる。今のタクシー運転手の高齢化に近いのかもしれない。生活困窮者はまとめ買いの金銭的な余裕がないから材料費や炭代も割高になるという話も、低所得者が自炊できずにコンビニの割高な食費に圧迫されるのと近く、当時は残飯屋という廃棄食品を安価に売る商売があったというのも今のフードバンクに近いかもしれない。

最暗黒の東京 (岩波文庫)

最暗黒の東京 (岩波文庫)